ハノーヴァー・マヌーヴァー

楽しい曲の筆頭はヴァン・ヘイレン(Van Halen)のジャンプ(Jump)です 2016/10/26   2号

楽しい曲の筆頭ヴァン・ヘイレン、その活躍ぶり

楽しい曲と言えば、このヴァンヘイレン(Van Halen)のジャンプ(Jump)以上の曲はなかなかないでしょう。印象的なシンセのオープニングから始まり、元気の良いデイヴ・リー・ロスのウォウホウー!という雄たけびで、ちょっと哀愁のあるDメロに入った後シンセの早引きソロが続く・・・往年のMTVビデオ映像を知っている方なら、一緒にきっと飛び上がっていたはずです。

このヴァン・ヘイレン、その一作目は衝撃的で、ギター小僧達にライトハンド奏法(というのは日本独自の呼び方で、今はタッピングというそうな)という技術革新を教えてくれました。日本中のギター小僧が指版の上を右手の人差し指でこちょこちょこちょこちょ引っかくとあれ不思議、ピロロロピロロロという普段より音数が多く、しかも音の離れたところでトリルができるではありませんか。

しかし、ヴァン・ヘイレン初期の楽曲はお世辞にも完成されたものとは言いがたく、ギターのリズミックなリフやバッキングはかっこいいものの、歌は全部前半がウォウウォホーと叫んでいるだけで(失礼)、ほかのハードロックやメタルバンドがメロディアスな泣けるメロディーをきちんと組み立てていたのに、何だかよく分からない印象でした。聴ける曲は、オー・プリティー・ウーマンとか、ユー・リアリー・ガット・ミーとか、他人のコピー曲だけでした。

それがようやく花開いたのがこのアルバム「1984」に入っていた初の世界の皆に認められたジャンプ(Jump)でした。ギター奏法だけでなく、そのさわやかな、誠実そうなエディーの笑顔もお茶の間で有名になり、日本でも野村義男君がそっくりだということで、同じ笑顔を作っていたのが印象的です。

その後の快進撃と悲しい別れ

その後、どうしたことか、ウォウウォホーいうだけのデヴィッド・リー・ロスはバンドを離れ、代わりに、サミー・ヘイガーというウォウウォーというよりは、ア、ア!という人が入り、売れる曲を作るコツを得たのか、次々とヒット作を出していきます。どんな曲かはまたいずれ別の機会で紹介しますが、そのサミー・ヘイガーもバンドをいつの間にか離れてしまいました。

悲しいのは、バンド結成時からずっとやってきたマイケル・アンソニーという小太りのおひげの優しそうなベースのおじさんとバンドが揉めました。彼はヴァンヘイレンのほぼ全曲に入っている美しいハイトーンのバックコーラスをやっていて、さらに作曲も相当していて、バンド全体の色を構築するのに貢献していたのですが、どうも曲のクレジットが正しくないとか、契約がきちんとされておらずメンバーではなかったとか、いろいろな理由からバンドを離れてしまいます。

このあたりからバンドは迷走を始め、売り上げ的にもベスト版は売れますが、新作はパッとしないという 状況が続きます。

笑顔の裏にどろどろも?

そしてなぜかヴァンヘイレンのベースには、ちゃっかりエディーの息子ヴォルフガング(ウルフギャング)が収まってしまいます。親ばかだったのかもしれませんが、家庭内手工業のようになったヴァンヘイレン、いま一つパッとしません。エディーも2000年代に入ると舌の癌を患って3分の2を切除したり、奥さんと離婚したり、アルコール中毒になっていたという噂もあって、散々な目に合うのです。

あの太陽のように輝いた、屈託のない笑顔。その裏ではこんないろいろなことを経験して、今はオリジナルメンバーのデイヴィッド・リー・ロスが戻ったりして、なんとか続いている状態です。

できればいつまでも、そう、いつまでもあのまま。さわやかな4人の青年がいつまでも素敵な仲良しでいてほしかったと思うのは私だけでしょうか。


参考
Wikipedia Eddie Van Halen
https://en.wikipedia.org/wiki/Eddie_Van_Halen