ハノーヴァー・マヌーヴァー

薦められた曲を聴く喜び

2016/11/04 11号

どうやってよい曲と出会いましたか

みなさんはどうやってよい曲と出会ったでしょう。自分でCD屋さんで探した、ヘアサロンに行ったら良い曲が流れていたのでお店の人に曲名を聞いてみた・・・Youtubeをクリックしていたら出てきた・・・そんなこともあるかもしれませんが、圧倒的多数の曲は誰かに薦められた、あるいは何かの媒体に紹介されていたので聞いてみた、というところではないでしょうか。

特に友達が、このCDはすごいよ、聴いてみて!という感じで貸してくれたものははずれがありません。お友達が貴方の好みを良く知っていて、あなたの毎日の状況も分かっているから、そういう貴方の心に響くものを薦めてくれるんでしょう。

いやあ、友達って本当にいいですね。私もプログレにはまったのは中学時代にエマーソン・レイク・アンド・パーマーを友達が貸してくれたからでした。それもその彼は楽器を弾くわけでもないのになぜかすごいすごい、言って貸してくれたのです。『展覧会の絵』でしたが、ムーグシンセサイザーがぶいんぶいん言ってほんとにすごかったのです。

かたくなにならなければ良い出会いが

しかし高校生になると私もいっぱしにいろいろ聴くようになったので、ああでもない、こうでもない、とお店にいっていろいろ探して、宝くじのようにああ、当たった!うわーはずれた!という感じで楽しくもあり苦しくもある孤高の道を歩み始めるのです。

だいたい音楽が好きな人は、自分だけが探し出した良い物があるとすごい信じているのです。それを掘り出すことが喜びとなっているわけです。

しかも掘り出して当たりのものだと、人に貸してあげないわけです。自分だけのいいものですから、人に教えるなんてとんでもない!ふひひひ、とか悦に入るわけです。

しかしそんなことをしていると回りの人からも何も薦められなくなって、結局孤高の人になっていくのです。良い出会いがなくなるのです。

グレイトフル・デッドを見習おう

グレイトフル・デッドのファンはデッド・ヘッズと呼ばれています。グレイトフル・デッドはライブでファンが録音した音源を自由にファン同士でシェアさせていたという話です。

僕はこんなライブのテープを持っている!私はこの日のを録音したのよ、という感じで交換し合えば、彼らの音楽を何倍も楽しめたということです。グレイトフル・デッドはそれを支援するように、わざわざ良い録音ができる席を会場のファンのために作っておいたといいます。

残念ながら今、特に日本では著作権というものが若干間違って広まっていて友達に貸すのもとんでもない!という人もいますが、これは誤解です。いろいろ気をつけなければならないのは確かですが、ぜひこの曲は最高なの!というのをお友達同士でシェアできるような社会が戻ってきて欲しいと思います。

少なくともちょっと前まではそちらが当たり前で、しかも商業音楽の売り上げはそうした社会のほうが大きかったわけですから。


参考
『グレイトフルデッドにマーケティングを学ぶ』デーヴィッド・ミーアマン・スコット 日経BP社