ハノーヴァー・マヌーヴァー

オバマ氏はD.C.に住み続け、ミシェル夫人は子ども達を痩せさせる旅Journeyに出る

2016/11/16 23号

暖かい家族像を投影した大統領

さて来年一月にはホワイトハウスを去るオバマ大統領ですが、ホワイトハウスを出た後もワシントンD.C.に住み続けるそうです。

というのも娘さんが高校を出るまで環境を変えたくないそうで、ホワイトハウスから3キロほど離れたところに、なんと共和党支持者の人から家を借りて住むそうです。シークレットサービスも出入りしなければならないとかで、車が10台も停められる大きい家だそうです。

中東をぐちゃぐちゃにしたり、ウクライナをぐちゃぐちゃにしたり、中国の海洋進出を加速させたりとまともなことをしなかった大統領ですが、一つだけ良かったことがあります。

それはこれまでほとんど分からなかった、大統領という人物は家族をどう思っていて、どう接するのかが見えたところです。彼は普通に家族を持っていて、娘達が好きなテレビ番組なら自分も喜んでみるような、普通の家族人だったわけです。イメージ戦略かもしれませんが、少なくともジョージブッシュが子どものテレビを見ているようなことはなかったし、クリントン大統領も娘のことはあまり触れてはいませんでした。

夫人のミシェルさんも自分の子どもの健康診断の結果にショックを受けて、アメリカから子どもの肥満を撲滅させる運動「レッツ・ムーブ」をやっていて、残念なことに肥満は減らなかったようですが、これを彼女は民間人としてこれからも続けるそうです。

Gleeが好きだったオバマ一家

そんなオバマ一家ですが、音楽好きの耳を捉えたニュースは、オバマ一家はTVドラマのGleeが大好きだということです。高校の合唱部を題材にしたこのドラマ、80年代のハードロック好きには、ジャーニー(Journey)のDon't Stop Belieivin'が使われていたのが嬉しい限りでした。

こういう自国のレガシーを大事にして恥ずかしがらず新しい形にすることをアメリカ人はためらいません。日本ならラウドネスの曲をリメイクして高校のTVドラマに使う感じでしょうか?RCサクセションとかレベッカのリメイクならありえるでしょうか?私も、ええ、ジャーニーがこんなところで?しかもオバマ一家が好きだなんて?と思いました。

実はGlee盤を聞いたことがある人はご存知ですが、前半アカペラになっています。合唱部という設定だからそうなのかと思ったら、実は、Glee盤の元になっていたのは、Petra Hadenという女性がドラマの2年前に作成したアカペラバージョンだったのでした。

複数世代にわたって楽しむ文化

このPetra Hadenさん、ジャズの世界では有名なCharlie Hadenの娘で、ヴァイオリンも弾く人なわけですが、オルタナティブロックやジャズの人たちと幅広く交流していたわけです。これだけ交流があると、ハードロックの名曲も彼女の感じるように思うままに変えられるわけです。それでアカペラになったものを二年後Gleeが使ってゴスペル風ロックオペラにしたわけです。

急に80年代の名曲がよみがえったわけではなく、まさに三世代にわたって受け継がれて、その世代世代でいろいろ体で感じるものに置き換えていってできあがったわけです。

この辺り、日本の音楽界ももっとあってもいいと思いますし、カエルがゲコゲコ鳴くジャズボーカルの世界もあっていいと思います。

オバマ大統領が投影していた暖かい家族像とジャーニーの名曲を使ったGlee。若い世代だからこそ受け渡したい文化的レガシーがある、という意味でイメージが重なるところが大統領の気持ちとしてもあったのかもしれません。

ハノーヴァー・マヌーヴァードットコムでは、「元気」という気持ち検索語でDon't Stop Believin'は出てきます。オバマ一家はこれからも信じるところに従って元気に旅を続けていくのでしょう。