ハノーヴァー・マヌーヴァー

有名ミュージシャン(アメリカの場合)の死因は何か

2016/11/29 36号

才能あるミュージシャンほど若くして世を去る

さて、前回ロックバンドでは一人が抜けるとバンド全体が大打撃をこうむるというお話をしました[参考 メンバーが変わるのが当たり前のジャズとそうでないロックバンド]。

前回の場合、ただ抜けたり、分裂したりということでしたが、今日は少し悲しいケースです。そうです。若い才能のあるミュージシャンほどなぜか命を無駄に散らしてしまうということです。

もっともほとんどがアメリカのミュージシャンに限られるようですが、とにかく天国では相当数の若いミュージシャンが集まっていくつものバンドが組めるくらいたくさん命を落としているわけです。

社会が荒れていた50−60年代

特に50−60年代はちょっと名前が売れると、たちまち様々な誘惑が迫ってくるようで、一番厄介だったのは麻薬でしょう。ジャズの場合、チャーリー・パーカーもソニー・ロリンズもマイルス・デイヴィスも大物ミュージシャンであるにもかかわらず、みんな麻薬に手を染めました。ソニーロリンズのように更正する人もいましたが、ずるずるいってしまう人も多かったようです。結局チャーリー・パーカーは衰弱して34歳でなくなりました。

ロックのほうでも、昨日は書きませんでしたが、ローリングストーンズの創設者の一人であるブライアンジョーンズは初期ストーンズの音の方向性をすべてコントロールしているような人でしたが、麻薬でへろへろになりプールで溺れて死にました。ジャニスジョプリンも麻薬で一人孤独にホテルの一室で死亡しました。ジミヘンは酒を飲んで吐いたものがひっかかって呼吸困難になったといわれていますが、やはり麻薬から逃れられなかったようです。

ビートルズも麻薬をやっていましたし、麻薬をやるとすごい音楽が出来ると信じる風潮が50−60年代あったようですが、今思うと実に恐ろしいことです。

飛行機事故や交通事故、銃撃に最近は睡眠薬

一番悲しいのは運命のいたずらなのか、天国の観衆は地上のすばらしいミュージシャンを見るとすぐ呼びたがるのか、事故でなくなるケースです。ソウルの神様、オーティス・レディングはツアーに向かう途中飛行機事故でなくなりました。現代のへヴィーメタルの様式美を築いた初期オジーオズボーンの美形ギタリスト、ランディー・ローズもツアーで移動中飛行機事故でなくなりました。ちなみにアメリカではランディーの人気はすごいものがあり、ランディーローズ人形なんてものが売られていてアイコン化しています。

飛行機はいかにもアメリカらしいですが、車になると火の玉プレイも上質なシルクのようなプレイも出きたトランペッター、クリフォードブラウンが交通事故で死に、ハードロックの重鎮、コージーパウエルも車の事故でした。

もっとひどいのは、知り合いに撃たれるケースです。ソウルミュージックの先駆、サムクックや、クリフォードブラウンの跡継ぎで火の玉トランペットを吹いていたリーモーガンは自分のガールフレンドに撃ち殺されました。ジョンレノンは見知らぬ人間のようですが、やはり自宅の前で撃ち殺されました。

最近では時代が少し良くなったのか、こうしたケースが減っているようにも思いますが、まだまだナタリーコールのような麻薬が遠因で肝炎になって死亡したケースや、ホイットニーヒューストンのように麻薬をやって風呂場で溺死したケースもあります。ほかに睡眠薬や酒という現代的な中毒物質で死亡するケースが気になります。マイケルジャクソンやプリンスは睡眠薬・鎮痛剤で、エイミーワインハウスは古典的ですがアル中でした。80年代の大物がばたばた死ぬのは気になります。

これだけ天に昇っていったのだから、神様はもう才能ある人を呼び寄せないでいただきたいと思うと同時に、才能あるミュージシャンは、変なものに手を染めず、ぜひ音楽にもっと真剣に取り組んでもらえたらと願う今日この頃です。