ハノーヴァー・マヌーヴァー
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マライア・キャリーのメリー・クリスマス-ディーヴァが技巧を尽くした祭典

2016/12/21 57号

実は黒人だったマライア・キャリー

マライア・キャリーがデビューした当初、ヒスパニック系の入った白人、または何かのミックスなのかなと思った人が多かったのではないでしょうか。アメリカでも彼女は白人だと思われていました。

彼女の5オクターブとも言われる恐ろしいほどの幅広いレンジの声、ホイッスルボイスを使った独特のクライマックスの演出などが先行して誰も彼女の出自などは気にしていなかったのですが、彼女自身がだんだんと自身の家族のことなど話すようになって彼女はアメリカ人の基準では黒人であるということが知れ渡るようになりました。

日本ではあまり気になることがないのですがアメリカ人は人の「色」に敏感です。私もアメリカで免許を取ったことがあるのですが、「オー!君の瞳の周囲はブルーで、中はブラウンだ!」などと運転免許場の人に言われ、日本人なんだから黒に黒でしょう、と言ったら、「ノーノー私は毎日何十人も見ている、間違いナイ!」などといわれたのですが、とりあえず周囲ブラウンで中は黒にしてもらいました(余談ですが日本人も瞳の周りが青というかグレーというかの人は結構いるんだそうな・・・)。

そんなアメリカですから、マライアの家族が白人でもなく黒人にも見えない子どもたちがいることでコミュニティに冷たくされたこともあったようですが、それでも彼女は自分を生んでくれた家族を愛し兄弟を愛し、黒人であることを誇りに思い歌っていたのでした。

壮大なゴスペルで歌い上げるクリスマスソング

そんな彼女のジャケットのかわいらしいアルバムが「メリー・クリスマス」です。


彼女が歌うとクリスマスソングでも魂が震える

しかしいくらジャケットがかわいくてもそこはマライア・キャリーのアルバムですから、ディーヴァの持てる全ての技巧を尽くして歌い上げているわけです。

中でもビデオクリップで黒人のゴスペルグループと一緒に高らかに歌うOh Holy Nightは鳥肌ぞくぞくを通り越して、戦慄すら覚えるのです。

彼女が持てる力の全てを振り絞るようにしてホイッスルボイスで最後にdivine!と叫ぶところなど涙がはらはらと自然に落ちてきて手を合わせたくなるのです。

こんなクリスマスアルバムが出せるのも、彼女がこれまでの周囲から受けた偏見などとっくに乗り越えているからなんでしょう。魂の叫びを残すこと。それだけがマライアの唯一の願いのように思えます。