テリ・リン・キャリントンのThe Mosaic Project: Love and Soul-今年聴いたベストR&B
2016/12/23 59号
ハノーヴァー・マヌーヴァー3人で選ぶ今年聴いたベスト曲・アルバム
支:こんばんは。年末が近づいていますから、今ハノーヴァさんとマヌーヴァさんと三人で今年「聴いた」ベスト曲、アルバムの話をしています。
ハ:今年「聴いた」ということは、今年出たアルバムじゃなくってもいいんですかあ?
支:そうだね、今年初めて聴いたとか、今年聴きなおしたら急によく思えたとか、そういうのでもOKということで。
マ:そういうことならいっぱいありますなあ。じゃあ、一人二ジャンルくらいでベスト曲・アルバムを紹介すればいいんじゃないですか。まずは支配人からどうですか。
支:え?私から?いつも記事を書いているから、お二人からどうですか。
ハ:えー、さっき言っていた、ほらほらあれ面白いじゃない?
マ:あー、そうそう、あれやってくださいよ。ジャズとR&Bの垣根がなくなれば面白いって奴。
テリ・リン・キャリントンのThe Mosaic Project: Love and Soul
支:そうだねえ、テリ・リン・キャリントンていう女性のドラマーがいるんだけど、一応ジャズドラマーに分類されている人なんだけども、2015年に出したThe Mosaic Project: Love and Soulというアルバムが面白いんだよね。これを今年「聴いた」ベストR&Bアルバムにしたいな。
ハ:ええとちょっと待って!ジャズアルバムじゃないのね。
マ:そうそう、その辺の話が面白いんでしょう?
支:うんうん、CDはジャズに分類されているけど、ゲストシンガーにナタリー・コールやチャカ・カーン、それに自分の大好きなレデシーも来て歌っているんだね。ナタリーコールはたぶんこれが生前最後のレコーディングじゃないかと思うんだけど。面白いのはチャカ・カーンとレデシーの聞き比べかな。
マ:というと?
チャカ・カーンといえば泣く子も黙るエネルギッシュなソウルシンガーな訳だけど70-80年代のベテラン世代に属するのは間違いないんだよね。2曲目のI'm a Fool to Want Youを歌っている。それがレデシーのような次の次の世代とも言えるシンガーと同じアルバムに入っているのが面白い。彼女は11曲目Get to Know Youを歌っている。
ハ:やっぱりすごい違いがあるんだ?
支:やっぱりただパワフルに歌えばよかったチャカカーンの世代と違って、90年代のエリカ・バドゥのような歌い方や、あるいは2000年代のデスティニーズ・チャイルドのようなささやきや心のうずきを表現する歌い方も経ているんで。レデシーのほうがチャカカーン世代と比べて感情表現が断然細かいし、切なさやつらさや、心のうずきやもがきというのを声で表現できるよね。そういう意味でソウルは歌い方が大きく進化したよね。
マ:うーん、確かに。それでジャズドラマーが呼びかけたから、違う世代のシンガーが気楽に一同に集まれたと。
支:そうそう、テリ・リン・キャリントンはドラマーだし、セッションの感覚で頼めばあまりこだわり無く、豪華なメンバーを並べることができたんじゃないかな。それでリスナーにとっては幸なことに一枚のアルバムでいろいろ聞き比べることができるようになったと。
ハ:それで肝心のテリのドラムは・・・
支:それがドタバタドタバタ音が多すぎで、全然ダメ。この人はドラマーを辞めて総合プロデューサーになったほうがいいかもね。
ハマ:あらあらまあまあ。
支:というわけで年末に向けて、今年「聴いた」ベスト曲・アルバムをしばらくお届けします!