生前の未発表録音はありそうだけど意外にない

支配人：ベテランで亡くなった方は多いけど案外、後から未発表音源って出てこないよね。

マヌーヴァ：そうですなあ、マイルスデイヴィスなんかあるんじゃないかと言われましたがスタジオ盤は出ませんなあ。最後の遺作の「ドゥーバップ」も、イージーモービーが残った素材を集めても足りないので、彼がじゃんじゃんシンセやサンプラーでいろいろ入れてやっとできたというくらいですから、もうスタジオ音源はないんでしょうなあ。

支：ジミ・ヘンドリックスとのセッションがあるある言われていたけど、実はスタジオにも入っていなかったようだし。

マ：あの頃マイルスを支えていたギル・エヴァンスが二人を正式にレコーディングさせようとしていたけど実現しなかった、というのが真相みたいですなあ。おしいことをしたものです。そのジミヘンもあんまり音源は残ってなかったんですな。

支：まあ、間違いなくプリンスは山のように残してくれたと思うんで、ファンはもううんざりするくらい聴けるかもしれないね。

マ：でもたまにぽろっと出るんですな。ジャズなんかだと。まあライブが多いわけですが、最近ではこのビルエヴァンスのSome Other Timeというのは48年間も個人宅で音源が残っていたとか。

支：ドイツのSABA電気という会社の役員のハンス・ゲオルク・ブルンナー・シュワーという、MPSというレーベルも立ち上げた人の自宅に素晴らしい録音セットがあって、一日立ち寄ったビルエヴァンスたちが録音して行ったけど、当時、Verveと彼らは契約していたから、録音が行われてから48年間この音源は世に出てこなかったと解説があるね。

マ：以前紹介したドロシー・ダンドリッジ（参考　「シンガーとしてまったく世に知られなかった宝石」）の音源もずっと埋もれていたんですな。ですので、なくなったアーティストのファンは諦めなければ、きっとそのうち何か出てきますがな。

支：うーん、これは諦めとかの問題じゃない気がするね（笑）