ローズマリー・クルーニー 女性ジャズシンガーはエラ、サラ、ビリーだけじゃない 128号
2016/3/9 128号
白人女性ジャズシンガーの独特のスタイル
ジャズと言うとどうしても黒人のものという認識は強いです。特に女性ボーカルの場合、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイは三巨頭と言うか御三家と言うか、それにカーメンマクレエも加えてもうこれ以上のシンガーはいないと思われています。
しかし少し見方を切り替えて、テクニックとか背負っているものとかではなく、味やスタイルの楽しさとして聴けば、白人女性シンガーも楽しいのではないでしょうか。
実は白人女性ジャズシンガーはびっくりするほどたくさんいるのですが、御三家らに隠れて、ポップスや映画音楽のようなものと思われ続けた節があります。
確かに映画に女優として出ているそうした歌手もいるようですが(参考 「シンガーとしてまったく世に知られなかった宝石」 )、そういう中でもローズマリー・クルーニーは別格です。
ビングクロスビーとの競演で有名になった映画「ホワイトクリスマス」で注目を浴びた彼女はジャズシンガーとして50年代と60年代に多くのヒット曲を出します。60年後半から離婚問題や親友だったJ.F.ケネディの暗殺事件などで精神的に落ち込んでしまいますが、その後カムバックを遂げます。
ステレオという当時最先端の技術を意欲的に使った実験的なアレンジ
カムバック後は、ビングクロスビーの最後のツアーに同行したり、コンスタントに活動を続け、2002年には生涯活動し続けたことを祝してグラミー賞が贈られました。その年に彼女は癌でなくなります。ちなみに俳優のジョージ・クルーニーは彼女の甥だそうです。
かたくなな予防線を張らずに、いつものテイストとは違うアメリカの豊かさを感じる歌声に心を開いて甘えるように聴いてみてはいかがでしょうか。