ジャズピアニスト列伝その7 マッコイ・タイナー 187号
2017/05/13
内省的で繊細で印象深い刻みを残すコルトレーンのサイドマン
マヌーヴァ:まあ演奏のスタイルは違えど、ここまで紹介したピアノマンは派手で目立つんですな。アクが強いというか個性が強いというか。
支配人:そうだね、スキマクリエイターのエヴァンスやモンクもやっぱり派手というか、すごい自分が独立した存在だよね。楽曲よりもプレイ重視のような。
マ:そうですな。それで今日はプレイよりも楽曲重視という、ピアノマンにしては珍しい素晴らしい人を紹介したいんですな。
支:へー、一体誰だろう。そんなピアニストっているのかな。
マ:今日登場するのはマッコイ・タイナーですな。
支:ああ、なるほど、ジョン・コルトレーンのバックを長く務めた人だね。
マ:そうですな。1960年から65年まで務めましたが、どんどん精神的に哲学的になり演奏もフリージャズに近づこうとしたコルトレーンに疲れて辞めてしまったようですな。しかしその間に、"My Favorite Things"、"Ballads"、"A Love Supreme"、"Ascension"など、コルトレーンファンだけでなく、ジャズファンなら必聴のアルバムをたくさん残したんですな。
支:今出てきたのだけでも名作中の名作なんだけど、まだまだあるんだよね。
マ:そうですな、コルトレーンの没後に出たアルバムもあわせると、28枚程度あるようですな。
支:えー、しかもコルトレーンから離れた後ソロも名作があるでしょう、ジャケットがオレンジ色な"Nights of Ballads and Blues"とか有名だよね。
マ:そうなんですな。しかもこの方は、この時代のミュージシャンとしてはもはや滅多にいない、まだご存命の方なんですな。今年78歳のようで。割りと最近の、2008年にはツアーにも精力的に出たようですな。
支:へーそれはすごい、もう60年代を現役で駆け抜けた人はあまり存命じゃないもんね。ところで、一枚お勧めするならどれにしよう。あまりにも多くありすぎるけど。
マ:まあワタクシならコルトレーンと一緒にやっている"My Favorite Things"をお勧めしますな。ピアノが非常に印象的なリフを刻み滑らかなうねるようなソロも後で展開する、ちょっと東欧の民謡のようなタイトル曲が非常に印象的ですな。コルトレーンはまだソプラノサックスのパワーを出し切れていない気もしますが、裏のタイナーが見事に内省的で繊細なバックを固めていて興味深く仕上がってますな。
支:ああー、確かにあの曲はテーマが印象的で、この後のコルトレーンが向かおうとしているところを示唆しているような仕上がりだよね。ソプラノサックスが力が抜けてヘロヘロみたいになるところも、ここから彼が本気でジャズを走り抜けていくときの好調のアルバムと比較すると面白いよね。
参考Wikipedia McCoy_Tyner
https://en.wikipedia.org/wiki/McCoy_Tyner