ハノーヴァー・マヌーヴァー
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90年代の名盤20枚特集 その4 アンプラグド  197号

2017/05/24

クラプトンはかっこよかったがそれに続いたミュージシャンは全部だめになった

マヌーヴァ:米英対決ということですが、80年代に大挙アメリカにイギリスのミュージシャンが乗り込んでMTVの波に乗って成功した、最後の残滓というか、最終形というかがこのアルバムですな。

支配人:ああー、1992年のエリッククラプトンの「アンプラグド」だね。なんと世界で2千600万枚も売れたという。今も買う人多いんじゃないかな。

マ:そうですな。MTVが仕掛けたアンプラグドシリーズで一番成功したアルバムで、意外にも録音はイギリスで行われているんですな。まあ、MTVはアメリカというスーパーパワーを使ってこのアンプラグドシリーズをやったわけですが、クラプトン以外にギリギリ成功したのはロンウッドと一緒に1993年にやったロッドスチュワートくらいでしょうな。

支:そうだよね。ロッドスチュワートもエリッククラプトンもスローでブルースっぽい持ち曲があったり、アコギを元々入れている曲があったから成立したけど、ハードロックやオルタナティブバンドまでなんでもかんでもアンプラグドさせられていたからなあ。

マ:アメリカでちょうどヤッピーとかカフェ文化という言葉が流行り始めた頃ですな。落ち着いた生ギターで大人の曲を聴きたい、という社会情勢を読み取ってやったことでしょうが、エアロスミスだのブルーススプリングスティーンだのニルヴァーナだのぞろぞろ出てくるわけですが、全部失敗したわけですな。

支:エリッククラプトンとロッドスチュワートは成功してほかは失敗したのはやっぱり、元々持ち曲に生っぽいのとかなかったからかな。それとも他に原因があるかな。

マ:アコギはやってみれば分かりますがただジャカジャカ鳴らせば良い訳でもありませんし、エレキのソロをまるまるペロンペロン弾けば良い訳でもないですがな。アコギにはアコギの美学があるわけで。エリッククラプトンは曲全体のアレンジだけでなく、ギターの弾き方まで全部アコギで魅力的に響くように作り直してますがな。彼は元々ロバート・ジョンソンというアコギブルースの天才をコピーしまくっていたわけで、そういう作り直しができたんですな。

支:なるほど、確かにニルヴァーナのアンプラグドとかジャカジャカペロンペロンしていて悲しいね。安っぽいというかなぜアコギでやるの?としか言い様がない

マ:結局安っぽいことをビッグスターが嬉々としてやっているので、若者に呆れられてそっぽを向かれたんですな。

支:そうだよね、そのすぐ後、音楽的には完成してなくて良いメロディーもないけど、轟音にノイズを混ぜてエレキをかき鳴らすオルタナティブのムーブメントが来るし。

マ:アレに出たビックスターは自分たちで自分たちに引導を渡したんですな。アレに出ざるを得なかったニルヴァーナもある意味、自死のようなものなんでしょう。

支:なかなか悲しい出来事だけど仕方がないよね。クラプトンのアンプラグドの「ティアーズ・イン・ヘヴン」は間違いなく音楽史に残る名曲だけどね。自分の子どもの死を悲しんで歌ったという。ソロギターで弾くと弾いていて自分で涙が出るよねこの曲は。ある意味ベテラン達の引き際を意図せずしてMTVが準備してくれたのかもしれないね。

マ:そうですな。オルタナティヴロックが流行るスピードを速めてくれたともいえるでしょうな。




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