Little Earthquakes トーリ・エイモス 201号
2017/05/28
国籍不明なエキゾシズム トーリ・エイモス
支配人:前回の特集で90年代のミュージシャンが影響を受けた主に七十年代前半ミュージシャンを紹介したけど、今日は誰にも似ていない、希有なアーティストを紹介します。
マヌーヴァ:ほほう、誰にも似ていないというと果たして誰ですかな。
支配人:トーリ・エイモスです。
マ:ほほう、90年代アーティストはああ、あの人に結構似ているな、というのが多いですが、この人の場合は確かに誰にも似ていませんな。ピアノを女性が弾き語るところからして結構、あのころ斬新でしたな。
支:そう、音が、東欧の厳しい冬の情景のような、エキゾチックな音階と声に乗って不思議な世界を繰り広げているんだよね。それもほとんどピアノと歌だけで。
マ:一体彼女は誰に影響を受けたんでしょうかな。
支:さあ、誰なんだろう。似ている人がいないからね。しかも同じ民族音楽風でもエンヤと違って、何か人に厳しいような近寄りがたさのような狂気も混じった旋律が展開されるよね。
マ:あえて言えばエンヤと同じクラシックなんでしょうが、まったく表現が逆ですな。むしろピンクフロイドやキングクリムゾンのようなプログレの狂気に近いような。
支:イギリス人じゃなくて、アメリカ人であるところも面白いね。こんな変わった感性を持っているなんて。
マ:こっそり聞いてトーリに影響を受けた人は多そうですが、私はファンです!と言えないところが悲しいですな。
支:中国にウォン・フェイという歌手がいて、日本でもちょっとだけテレビドラマに出たりしたこともあるんだけど、中華圏では絶大な人気を誇るディーヴァなんだけど、彼女はトーリの独特の裏声のような楽器の声のような歌い方をパクったよね。デビュー直後の古いウォン・フェイを聞くと普通の歌手なのに、トーリ以降変な声を出すようになって、それで中華のディーヴァになったという。
マ:それはまた面白いですな。オリエンタルな趣味があったのでしょうかな。