90年代の名盤20枚特集 その9 Screamadelica プライマル・スクリーム 203号
2017/05/29
繊細で完成されたイギリスのエレクトロニカ
支配人:前回の話の中で、90年代は「不完全」とか「どうでもいい」というのがキーワードになっているということだけど、そんな中でも完成されたすごいなこれ、というのはあると思うんだよね
マヌーヴァ:ありますな。イギリスのほうは比較的「不完全」には突入しなかったように思いますな。とはいえ、オアシスが完ぺきだったのに比べて、ブラーは不完全を売り物にしたりして、やっぱり「不完全」というのが90年代の売れる要素の一方だったわけですな。オアシスとブラー論争なんていうファンの応援合戦みたいなのがありましたが、味噌と酢とどっちがうまいか論争をしていたようなもんですな。
支配人:そうだよね、オアシスとブラーを比べても意味がない。イギリスのグループでこの時期完成しているといえばやっぱりプライマル・スクリームのそれもScreamadelicaじゃないかな。
マ:その通りですな。とにかく完成度の高さに驚きますな。一曲目Movin' on Upからして、ワム!の新曲か、U2がエレクトロニカをやり始めたかのような。
支:超かっこいいブルーアイドソウルだよね。イギリス人もここまでやれるのか、という感じで。全曲いいけど、イギリスのレイブで好まれたのはHigher than the Sunだね。
マ:しかしワタクシはベタかもしれませんが8曲目Damagedがおすすめですな。これは90年代バラードで10指に入る傑作と思いますな。
支:チャート的にはアメリカではやらなかったから振るわなかったのかもしれないけど、こういうイギリスの音はずっと70年代から続いていて伝統を感じるよね。そういう意味でも外すことのできない名盤だと思うな。