90年代の名盤20枚特集 その14 Clarity Jimmy Eat World 208号
2017/06/04
内省を歌うエモにふさわしい美しい曲調
支配人:90年代特集もいつの間にかもう7曲しか紹介できないんだね。
マヌーヴァ:そうですなあ、そうするとまだ紹介していないジャンルはジャズとかジャズとかジャズとか・・・
ハノーヴァ:異議あり!
支:うわ、びっくりしたっていうか、びっくりして欲しかったでしょ?
ハ:忘れているジャンルがあるでしょ!?
マ:えーと、何でしたかな。ワールドミュージックはもう少し紹介しても良いかも・・・
ハ:エモでしょ!エモ!!
支:ああ、なるほど。ハノーヴァさんが大好きな。確かに2000年代ほどの盛り上がりではないけど、オルタナやアメリカのパンクからの中から出てきたジャンルとしては90年代で一番成功したよね。
マ:しかしワタクシはどうも90年代のエモは特にハードコアパンクやソフトパンクと区別がつかないんですな。歌詞が違うでしょう、と言われればそうかもしれませんが。2000年代になると陰鬱なスローな曲とかプログレ好きなワタクシ好みのエモも出てくるんですが。
ハ:そんな場合はこれよ、これ。
支:うーん、Clarityだね。確かにJimmy Eat Worldは曲調がほかのパンクの出自を持つエモグループとは違うよね。特にこのアルバムは。
ハ:そうなの!緻密な曲構成とか、むせび泣く歌い方とか、延々刻むリフとか、どっちかというとイギリスのポスト・パンクのような美しい仕上がりなのよ。
マ:これがアメリカのアリゾナ出身の若者の音とは思えませんな。ブライアン・イーノのプロデュースと言ってもよいような、あるいはレディオヘッドのライバルだといっても良いような。
ハ:そうでしょうそうでしょう?聴いてるとなんかぞくぞくするでしょ。このぞくぞくするという感覚がエモなのよねえ。Just Watch the Fireworksなんてそれに加えてもう泣けて泣けて・・・
支:本当に美しく構築された音だよね。Goodbye Sky Harborとか16分もある大作だけど、聞いていて引き込まれる、ループする世界の深淵に宝物を探しているみたいな構成だよね。こういうエモから入ればパンクだと思って敬遠していた往年のロックファンもすっと入れるんじゃないかな。