90年代の名盤20枚特集 その18 Oceanborn, Nightwish 212号
2017/06/09
オペラ声でヘヴィメタを歌ったありそうでなかった一枚
支配人:90年代、オルタナのグランジ勢がメタルを攻撃したけど、先にグランジが消滅してしまった。
マヌーヴァ:まあ、フォーマットは借りたくせに、俺たちはメタルじゃないと言っているのが良くなかったですな。
ハノーヴァ:そうねえ。ニルヴァーナもパールジャムも知らない人が聞けばメタルよね。
支:まあ、それで純正メタルのほうはアメリカでは居心地が悪くなったけど、ヨーロッパやほかの地域ではずっと進化し続けたんだよね。それでクラシックとの融合というのはディープパープルから誰でもやりたがる素材だったけど。
マヌーヴァ:90年代後半シンフォニックメタルということで出てきましたな。女性のオペラ声でそのまま歌うナイトウィッシュとか。
ハ:えー初めて聞いたけど、オペラ歌唱とメタルって合ってる。デスメタルのようなしゃがれ声とか低音声よりよっぽどいい。
支:ボーカルのターヤ・トゥルネンは本当にオペラ歌唱のトレーニングを受けた人みたいだよね。フィンランドから出てきたというのも面白いよね。このアルバムは二枚目だけど、最初のアルバムは海外での販売が遅れたので実質一枚目のように受け取られているものだけど。
マ:確かに女性がオペラ声で歌うのはかっこいいですな。今までありそうでなさそうな。プログレバンドでルネッサンスというのが女性ボーカルで激しいリズムのクラシック調の曲を歌いましたが、あれはオペラ声ではありませんでしたしな。
支:リッチーブラックモアのナイトも女性ボーカルだけど、あれもオペラ声ではないもんね。
ハ:でもこういうとなんだけど、曲は普通のメタルなんじゃない?変拍子とか激しいリフの応酬とかないし、ただイントロとかにシンセでクラシックぽい楽器音を入れました、のような。辛口すぎるかな。
支:まあ、この後本当にオーケストラとやったり、より複雑な曲調をこなすシンフォニックメタル・バンドも出てくるけど。ムーブメントのきっかけとしては上出来じゃないかな。
マ:確かにもうちょっと凝ったことをしてもらっても全然よかったかもしれませんな。ある意味聞きなれたフォーマットに最後の一押しくんを入れてあげたみたいで、それが売りなんでしょうが。
ハ:え!一押しくん?それはいったい何・・・
支:メタルが生命力があって、いろいろな形で愛好されていてそれもグローバルに人気のある音楽だというのが分かって、その使命は見事に果たした一枚だよね。