90年代の名盤20枚特集 その19 Love Scenes, ダイアナ・クラール 213号
2017/06/11
カフェでジャズを聴くという新しい文化を生み出したジャズの良いところを発揮した一枚
マヌーヴァ:もう残り二枚しかありませんから、ジャズをやらしてもらいますぞ!
支配人:お待たせしました。マイルスがなくなったのが1991年だから、それ関連かな。キース・ジャレットのバイバイ・ブラックバードとか・・・
マ:何を言っているんですか、お勧めはこれですな!
支:え!これでいいの。
マ:もちろんですな。
支:ダイアナ・クラールのLove Scenesはアメリカでプラチナアルバムになった良作だけど、いったい何がほかを差し置いてまでマヌーヴァさんのお勧めしたい情熱を掻き立てるの。
マ:それは簡単ですな。女性ジャズボーカルの良いところを最大限に発揮しているからですな。もちろん当たり前すぎてイノベーションも刺激もないのは分かってますが、では逆にこういうとても普通の女性ジャズボーカルはいたか、というとこの時代他にはいなかったわけで。
支:確かに古典派が一生懸命アコースティックジャズをやっても、スムーズジャズとか電子楽器がバッスンバッスンいうジャズのほうがまだまだ格好良かった時代だから、地味に静かにピアノに座って、低い声でつぶやくこのスタイルはかえって新鮮だったかもしれないね。ダイアナクラールのおかげで、似たようなスタイルでホテルやカフェで演奏する人も増えたし。酒場やホールからもっとジャズをポップで若いものにしてくれたよね。
マ:そうでしょう、そうでしょう。彼女なくして2000年代のカフェでジャズがかかるカフェ・ジャズ・ムーブメントはなかったですな。
支:カフェ・ジャズ・ムーブメントっていいね。アメリカでボーダーズとかCDも売るし、カフェも併設した本屋が90年代に現れて、スターバックスが引き継ぐ形で、カフェが陰気なところじゃなくなって、そういうところに合うジャズを創出したという意味で彼女の功績は大きいね。