ベストアルバムを権威が発表してしまうことの功罪 97号
2016/2/05 97号
ローリングストーン誌が選ぶベストアルバムは良い面も悪い面も
何か良いアルバムはないのかな、と思っている方はこのハノーヴァー・マヌーヴァーにも来ていただいていますが、ローリングストーン誌が選ぶ「オールタイムベストアルバム500」なども参考にするでしょう。
私もだいぶ参考にしてここに紹介されているモノは何年かかけてほぼ全部聴いておりますが(なお、発表されてから何回か入れ替えがなされています)、果たしてここに紹介されているアルバムは全部「良い」ものなのでしょうか。
例えば、マイルスデイヴィスの「カインド・オブ・ブルー」が12位に入っています。もし、ジャズに馴染みが無くて、何か良いジャズアルバムを聴いてみたいというとき、カインドオブブルーを手に取ってしまいました!さあ、どうなるか?
ジャズ最初の一枚として聴いてはいけない
お聴きになった読者も多いと思うのですが、「なにこれ?」と思ってポイッと捨てるでしょう(笑)。そしてジャズなんて大嫌い!とかジャズなんて興味がなくなった!となることでしょう。
カインド・オブ・ブルーは明らかにジャズらしいフォーマットでジャズらしく演奏されたものではありません。ジャズという分野の影響力のあるアルバムの一つなのは間違いないでしょうが、一番最初に聴くアルバムでないのは確かでしょう。しかしアマゾンなどもこれを一押ししているようですし、誤解を招きまくっているのは確かです。
権威のあるレビューを書く人たちからすると、普通のものでない、何か尖った特別なものを勧めたいという気持ちがあるのでしょう。しかし、そうやって集まったアルバムのリストには、残念なことにとても聴きにくい相当特殊なものが含まれてしまっています。 アルバム探しはぜひ自分の耳を信じて、いろいろと試してみたり、ほかのベストアルバム集のような本に目を通すようにしてください。もちろん、ハノーヴァーマヌーヴァーの気持ち検索も活用してくださいね。
「死ぬ前に聞かなければならない1001アルバム」こんな本も面白い