ジャズピアニスト列伝その1 バド・パウエル 181号
2017/05/07
バド・パウウェル-重いタッチでメロディアスに速く弾く異色
支配人:というわけでジャズピアニスト列伝を始めましたが、第一回目はバド・パウエルです。
マヌーヴァ:第一回目は世間に分かりやすいようにビル・エヴァンスとかオスカー・ピーターソンのような気もするんですが、どうして彼なんですかな。
支:まあ、あまり強い理由はないんだけど、ピアノだけでジャズらしさが濃厚に出ているような人を選んだという感じかな。
マ:ほほう、というと他のピアニストはピアノだけではジャズらしくないと・・・
支:そうなんだね、他のピアニストはジャズをやる以前にピアニストをやろうとしている感じがするな。バド・パウウェルはジャズをやりたいんだけど手に取った楽器がたまたまピアノだったという感じが濃厚だ。
マ:ほほう、面白い例えですな。音的にはどんなところがまずジャズありきなんですかな。
支:まず全体にベースかドラムのような重いタッチでごんごん!と進行していってかつピアノソロもピアノソロというよりメロディーを崩しました、という感じで分かりやすく憶えやすいよね。
マ:ほほう。一人でジャズの楽曲全体を表現しているという感じですかな。
支:そうだね、ベース、ドラムに個性がないように聴こえるのが欠点かもしれないけど・・・あと黒さも濃いほうだね。黒さを売りにしている人たちには負けるかもしれないけど。そういう意味でジャズらしい特徴をうまくブレンドして他のピアニストより分かりやすい、誤解が少ない気がするな。
マ:誤解が少ないというのは面白い言い方ですな。確かにオスカー・ピーターソンなんかはスタンダードを軽やかに弾くピアニストのイメージで、ジャズの濃厚さは薄いかもしれませんな。それでお薦めは。
支:一番のお薦めはザ・シーン・チェンジズ(The Amazing Bud Powell, Vol. 5: The Scene Changes)かな。今言ったような彼の特徴がすごい出ているね。ルディ・ヴァン・ゲルダーのスタジオの録音でベースにポール・チェンバースが入っていて重量級の音に仕上がっている。彼の息子が映りこんだ青いジャケットも有名だよね。