ハノーヴァー・マヌーヴァー

今日は感謝祭です!でも感謝祭って何だろう

2016/11/24 31号

収穫への感謝をするのが起源

以前、クリスマスの曲を11月から流すのはやめてほしいという記事を書きました[参考 「11月のクリスマス曲、ダメ!ゼッタイ!!」]。

その理由はクリスマス商戦の本場アメリカでは、11月後半に感謝祭があり、それが終わらないとクリスマス商戦は始まらないから、です。音楽が好きな方ならぜひ外国の文化に対する感受性を豊かにして外国の文化を尊敬して欲しいからです。

日本ではなじみの無い感謝祭ですが、もともとの起源は秋の収穫をお祝いする日だったようです。一般的に言われているのは、アメリカに初期の頃到着したイギリス移民が、現地にいたインディアンたちと収穫を分け合って(イギリス移民が食料が無くて困っていたのをインディアンが助けたという話になっていることもあります)、お祝いをしたという説が信じられています。この日は七面鳥を食べることがすぐ思い出されますが、伝統的な家では、beetsと呼ばれる謎の赤いカブのようなものが出てきます。

これは何だ?と聞くと、だいたいアメリカ人はにやっと笑って(この時期にだけ食べる人が多いのでしょうか?それとも美味しくないからでしょうか?)これはアメリカ建国の父達が先住民と仲良くやっていた証だ、などと教えられます。

友人や神に感謝する日になった

アメリカで感謝祭を祝日にしたのは1789年のジョージワシントン大統領ですが、このときの宣言では、全能の神に感謝するという、もともとの収穫に感謝する意義から若干意味合いが変わったように思えますが、収穫をもたらしてくれるのは神様であるので、特におかしなことはないと思います。

現代では11月の第4木曜日に家族で集まって食事をし、大体次の日も学校や官公庁、大企業はお休みなので、そのまま4日間の休日を家族と過ごすことになります。外国人の学生などは友人を作っておけば、普通のアメリカの家庭に招待されて、感謝祭がどういったものか一緒に感じることができます。大体食べる前には多くの伝統的な家では、食べ物を与えてくれる神様と、すばらしい家族友人に恵まれたことに感謝をするお祈りの言葉を、家長が声に出して言ってから食べ始めます。

日本でも感謝をすることがあっても良いのではないだろうか

さて日本では勤労感謝の日が大体近いところに来ますが、この感謝祭と何か関係があるのでしょうか。暦のことを良く知っている方は実はもとは新嘗祭と言って作物をもたらしてくれた神様に感謝する日であることをご存知でしょう。勤労感謝の日は戦後アメリカに占領されて神道はけしからん、ということになってから制定された名称です。

秋祭りもルーツは感謝することにあり、神様にも一緒にご飯を食べてくれる共同体が存在することにも感謝してきたのですが、これが薄れてしまっています。地域の祭りも夏はやるけれども、秋は人手がいないからやらないというところも多いようですね。

しかしながら日本でも年に一回くらい、食べ物を与えてくれる家族を超えた存在に感謝してもバチは当たらないのではないでしょうか。それが神様か仏様か、マザーアースか、大天使かそれは各自おまかせですが、時折、自分が今ここにいられるのは自分を超えた誰かのおかげだと感じることは必要だと思います。

そんな理由で、ハノーヴァー・マヌーヴァーでは「祈り」という気持ち検索語を準備してあります。すでに一度ジェフバックリーの記事[参考 「【訃報】レナード・コーヘンが亡くなりました」]で紹介してしまいましたが、ぜひどんな「祈り」の曲があるのか検索してみてください。